休業手当と傷病手当金はどちら?休む理由・金額・申請先

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休業手当は、会社に責任のある事情で働けない日に会社が支払うお金です。
傷病手当金は、業務外の病気やけがで働けず、十分な給与を受けられないときに、加入する健康保険から受ける給付です。

たとえば「仕事がないので休んでください」と会社に指示された場合と、自宅でけがをして療養する場合では、確認する制度が変わります。
まず休む理由、働ける状態か、加入する保険を整理します。

この記事では、対象、金額、休み始めの数え方、給与との調整、申請先を比較します。
退職後や、仕事・通勤が原因の場合に確認する制度も区別します。

休業手当と傷病手当金は、誰が何のために支払う?

比べる点休業手当傷病手当金
主な理由会社の責任による休業業務外の病気・けがで就労できない
支給する側会社協会けんぽ・健康保険組合など
対象を考える基準雇用される労働者か健康保険に本人として加入し、支給条件を満たすか
1日分の基本平均賃金の60%以上所定の標準報酬月額の平均÷30×3分の2
休み始め対象となる休業日から連続3日の待期後、4日目以降の対象日

会社が申請書へ記入することもありますが、傷病手当金を審査して支給するのは加入先の健康保険です。
一方、休業手当は労働基準法第26条に基づき、会社が支払います。
医療費の払い戻しとは役割が違い、どちらも休業中の収入に関わる制度です。

まず、会社の事情で休むのか、療養で働けないのかを分ける

働く意思と能力があるのに、受注減による生産調整、機械故障、材料不足など会社の経営上の事情で働けない場合は、休業手当を確認します。
正社員、契約社員、パート、学生アルバイト、試用中の人も、労働者に当たれば対象になり得ます。

対象は、本来働く予定だった所定労働日の休業です。
もともとの休日とは分けて数えます。
シフト勤務で勤務日が未確定の場合などは、契約やこれまでの勤務実態、休業の指示を資料にして確認します。
業務委託でも、契約名とともに実際の指揮命令や時間管理などから雇用される労働者に当たるかを判断する場合があります。

災害などの影響は、休業までの経緯を確認する

不可抗力による休業には、労働基準法上の休業手当の支払義務がない扱いがあります。
判断では、原因が事業の外部から発生したか、通常の経営者として最大限の注意を尽くしても避けられなかったかなどを検討します。
単に災害や取引先の事情と呼ぶだけでなく、操業を続ける対応が可能だったかも関係します。

会社の説明を聞き、指示日、理由、本来の勤務予定、支払額の根拠を残します。
会社の規程や契約で法定基準より手厚い支払いを定める場合もあるため、規程の確認と、法律上の最低基準の確認を分けます。

傷病手当金は、病名と仕事内容・療養状況を合わせて判断する

自宅でのけがや病気など、業務外の療養で働けない場合は、傷病手当金を確認します。
入院だけでなく自宅療養も対象になり得ます。
精神的な不調で休む場合も、仕事に就けない状態かを、医師などの意見と仕事内容を踏まえて判断します。

パートやアルバイトも、勤務先の健康保険に本人として加入していれば対象になり得ます。
資格情報はマイナポータルなどや勤務先で確認します。
扶養家族として入っている場合は、この給付の対象ではありません。
国民健康保険は一律の同じ給付がある制度ではないため、自治体や国保組合の独自給付の有無を加入先へ確認します。

加入直後の人も支給条件を満たせば対象になり得ます。
在職中の受給要件と、後で説明する退職後の継続給付の「継続1年以上」は分けて確認します。

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休んだ理由と期間、勤務や給与の記録を整理します。写真は状況を検討する場面のイメージです。

金額の違いは、割合より先に計算の基準を見る

休業手当の60%と傷病手当金の3分の2は、計算に使う金額が違います。
給与の手取りへ、そのまま割合を掛ける計算ではありません。

休業手当は「平均賃金」の60%以上

平均賃金は原則として、算定の基準となる日より前3か月の賃金総額を、その期間の暦日数で割った1日分です。
賃金の締切日がある場合は直前の締切日を基準にするなどの決まりがあり、日給・時給制には最低保障の計算もあります。
勤務先に、対象期間、賃金、日数、適用した計算方法を確認します。

平均賃金が1万円なら、1日分の休業手当は6,000円以上です。
1日の一部だけ休業した場合も、その日の実働分の賃金と合わせて平均賃金の60%に届かなければ、差額の休業手当が必要です。
法定の60%は最低基準で、契約などで定めた賃金の請求とは分けて確認します。

傷病手当金は「標準報酬月額」の平均から計算する

標準報酬月額は、給与や手当などの報酬を一定の区分に当てはめた、健康保険の保険料や給付の計算基準です。
1日分は原則として「支給開始日以前12か月の各標準報酬月額の平均÷30×3分の2」で求めます。

平均が30万円なら、30万円÷30日=1万円、その3分の2で日額6,667円という例になります。
実際には、30で割った段階で10円未満、3分の2にした段階で1円未満を四捨五入するなど、所定の端数処理があります。

支給開始前の期間が12か月未満の場合、協会けんぽでは、継続した各月の標準報酬月額の平均と、全被保険者の平均に基づく所定の額のうち、低い方を使います。
2025年4月1日以降に支給を開始する人の案内では後者は32万円です。
加入先や開始日を伝え、自分に使う額を確認します。

傷病手当金はいつから?連続3日の待期を数える

傷病手当金は、療養のため仕事に就けない状態で連続して3日休む「待期」が完成した後、4日目以降の対象日に支給されます。
待期の3日間には、傷病手当金は出ません。

たとえば金曜から働けない状態になり、土日もその状態が続けば、金・土・日で待期が完成し、月曜は4日目になります。
待期には土日祝日などの公休日や、年休を使って給与が支払われる日も含められます。
2日休んで3日目に働いた場合は、そこで連続3日は完成しません。

休業手当には、この3日の待期はありません。
会社の責任による対象の休業日なら、最初の日から確認します。
休み始めた日、実際に働いた日、休日、有給休暇をカレンダーへ分けて記録すると、双方の対象日を整理できます。

支給期間は、同じ傷病について通算1年6か月

傷病手当金の支給期間は、同一の病気やけがについて支給開始日から通算1年6か月です。
途中で復職して支給されない期間があれば、その期間を除いて支給期間を数える仕組みです。
2か月受給した後に3か月復職し、同じ病気で再び休む例でも、残りの対象期間を確認できます。

休業手当は、会社の責任による対象の休業日ごとに支払いを判断します。
傷病手当金のような通算1年6か月という一律の上限とは、数え方が違います。

有給休暇や給与がある日は、傷病手当金と調整する

傷病手当金の対象日に、会社からその日に対応する給与が支払われれば、日額と比べて調整します。
給与が傷病手当金の日額以上なら支給はなく、少なければ差額を支給する扱いです。

仮に傷病手当金の日額が6,667円、その日に対応する給与が4,000円なら、差額は2,667円です。
有給休暇の賃金や、出勤の有無にかかわらず出る通勤・住宅・扶養手当なども確認対象になります。
出勤した日の残業代や一時的な見舞金などは別の扱いがあるため、支給の対象日と性質を明細で確認します。

待期に年休を使う場合は、残日数と申請方法を会社へ確認し、その後の療養予定も含めて使い方を考えます。

会社の休業と本人の療養が重なる場合は、会社が営業していても本人は働けなかったのか、いつから就労できなくなったのかを整理します。
休業手当などが支払われる日は、健康保険上の報酬としての調整も関係します。
会社と、健康保険を運営する「保険者」へ、休業指示、療養日、勤怠、支給額を伝えて確認します。

申請はどこへ?会社と健康保険で確認することを分ける

休業手当は、勤務先の人事・給与担当へ、支払い対象日、算定額、給与明細の表示項目を確認します。
給与の支払日に、計算書や勤怠と照合します。
支払われない理由などに疑問が残る場合は、労働基準監督署や労働局へ、契約と休業指示の記録を示して相談できます。

傷病手当金は、加入先の最新の申請書や電子申請の案内を使います。
本人の申請期間や口座情報、事業主の勤務・給与の証明、療養担当者の意見などが必要になります。
会社経由で提出するか、本人が直接提出するか、必要書類と一緒に加入先へ確認します。

申請前に、発症・負傷日、仕事に就けなくなった日、受診日、出勤日、給与が出る日を整理します。
医療機関の記入にも時間がかかる場合があるので、申請する期間を決めて相談します。
提出後の支払時期は審査と書類の状況によるため、受理日や不足書類の有無を加入先へ確認します。

退職後の継続は、加入期間と退職日の状態を確認する

退職後も傷病手当金を継続して受けるには、原則として、資格喪失日の前日まで健康保険の被保険者期間が継続して1年以上あり、その日に傷病手当金を受けているか、受けられる状態にあることが必要です。
通常、資格を失うのは退職日の翌日です。

この1年には国民健康保険、任意継続、共済組合の組合員としての期間などを含めない扱いがあります。
転職で保険者が変わっている場合も、加入の空白や資格期間を以前の加入先へ確認します。
単に勤務年数が1年あるかとは分けて見ます。

退職日に出勤して働くと、退職後の継続給付は受けられません。
退職日が有給休暇でも、療養で働けない状態か、待期が完成しているかなどを確認します。
最終出勤日と退職日、貸与品の返却やあいさつのための訪問が勤務に当たるかに迷うときは、日程を決める前に会社と保険者へ具体的な状況を伝えます。

継続給付は、退職前からの同じ病気やけがで働けない状態が続く場合の制度です。
退職後に新たに発生した傷病とは分けます。
また、退職後にいったん働ける状態へ回復した場合は、その後再び働けなくなっても継続給付を再開できません。
在職中の復職と通算の説明とは条件が違うため、退職前に確認しておきます。

仕事・通勤が原因なら労災、求職中なら別の傷病手当を確認する

作業中の事故や、仕事が原因の病気、通勤災害によるけがは、労災保険の給付を確認します。
業務上の休業は「休業補償給付」、通勤による休業は「休業給付」と呼びます。
通勤経路の逸脱などは扱いが変わるため、発生日時、場所、経路、作業を勤務先と医療機関へ伝え、労働基準監督署に相談できます。

退職後、ハローワークで求職を申し込んだ後に、病気やけがで15日以上続けて働けなくなった場合には、雇用保険の「傷病手当」が関係します。
健康保険の「傷病手当金」とは別制度です。
30日以上働けない場合は基本手当の受給期間の延長も選択肢となり、他制度の類似給付を受ける日は調整があるため、ハローワークへ確認します。

原因が分からないときは、会社へ勤怠の扱いを確認するとともに、業務外の療養は健康保険、仕事・通勤との関係は労働基準監督署へ相談します。
会社への相談が難しい場合も、公的窓口へ直接確認できます。
制度名を選ぶ前に、日付と起きた事情を伝えることが適切な案内につながります。

まとめ

会社の責任による休業は休業手当、業務外の療養で働けず給与が十分でない場合は傷病手当金を確認します。
対象になる人、計算の基準、待期と期間、申請先は別々です。

休んだ日と給与の記録、加入先の資格情報をそろえ、会社と保険者へ確認します。
退職を予定している場合は、加入期間と退職日の状態を先に整理しておくことが大切です。

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会社の制度としての休職と休業の違い、療養中の連絡や復帰までの確認点はこちらで整理しています。

参考資料

情報確認日:2026年10月17日。
個別の支給可否・日額は、勤務先と加入する保険者へ資料を示して確認します。